今日の映画【シン・ウルトラマン】【罪の声】レビュー、考察

サラっと映画の薦め。

時々、構成説明。

100%ネタバレしますので、ご注意ください。

 

シン・ウルトラマン

(Amazon Primevideo)

あらすじ
日本の各地に出没する巨大生物「禍威獣(かいじゅう)」主人公神永はその特別対策組織の一員だった。
とある禍威獣を迎撃中、空から銀色のスーツを纏った巨人ウルトラマンがやってくる。禍威獣とウルトラマンの戦闘の最中、街に子供の姿が見える。神永は子供を救出に向かい、その折、死亡してしまう。ウルトラマンは子供の命を助けた神永に興味を持ち、人類を知るべく融合するのだった。

 

評価 B-

 

「シン・ゴジラ」に続く「シン・シリーズ」の最新作です。

まず、率直に面白いか否かで言うと、面白いです。只、ゴジラほどではなかった印象です。

疑問点の前に、良かったところです。

昭和ウルトラマンのディテール(細部)が良く表現されていて感動しました。特に手を上げて人形のようにクルクル回ったりする場面は、絵的にも面白かったですし、めっちゃ懐かしかったです。旧ウルトラマンにも度々あったのです、これ。

 

少し構成を話しますが、本作は主人公の男と、相棒に女性(長澤まさみ)が登場します。主人公は自身がウルトラマンだという事を秘密にしています。

Q この秘密は、いつ相棒にバレるでしょう?

A シナリオの丁度、ど真ん中!(折り返し地点)

このど真ん中をミッドポイントと呼びます。これは、決まっています。

「そんなルールないだろ!」って言ってるそこのアナタ。あるんです。もう少し後出しで残り3/4でバラすパターンもありますが、まぁ、普通は真ん中です。

とはいえ、「真ん中(ミッドポイント)」でそれだけって分けにもいかないので、別の何か印象的な事をやります。

それが「ビックまさみ」

本作では、長澤まさみが巨人になります。きっと監督の樋口さんが「進撃の巨人(映画版)」でポカしたので、自虐ネタで使ったのでしょう。ウルトラマンをひたすら「巨人、巨人」と呼んでいたのもネタでしょう。

 

只、個人的には微妙。「そんな事しかやる事なかったの?」って感じてしまいました。

後、最大のマイナス点が、「主人公不在」ですね。

居たじゃん! って思っている方、中身が死んでるいるなら居ないのと同じです。

基本的に主人公は人間であるべきです。今回は死んだ主人公(神永)の中にウルトラマンが入ってしまいますが、価値観や思考回路など人間とは異なります。

以前「不滅のあなたへ」でも述べましたが、こういう見た目だけ人間の異生物は、主人公の性質を持ち合わせません

だって人間である視聴者と共感できないもの。共感できない主人公は欠格だと思っています。

ここが大幅減点で、全体的にコメディっぽく(軽く)見えた原因かと。

後、メフィラス星人だかいう会話しかしない禍威獣ですが、2時間映画でろくに戦いもしない敵に時間裂き過ぎです。他にやる事なかったのかな? って感じで興ざめでした。

 

という事で、面白い箇所も沢山ありましたし「ビックまさみ」は爆笑しましたが、他のマイナスが大きすぎて「平均ちょい下」かなって評価になりました。

最終破壊兵器ゼットン、も面白かったです。

 

罪の声

(Amazon Primevideo)
あらすじ
雑誌記者の阿久津は、既に時効を迎えた事件「ギン萬事件」を調べるように上司から命を受け、調べ始める。
「ギン萬事件」とは、(モデル:グリコ森永事件)、お菓子に薬物を投入したとテレビ局などに脅迫状が送られ、社会を混乱に貶めた迷宮入り事件である。
その事件の脅迫には、ある子供の声が使われていた。
その子供の一人曽根は、家の片付け中にそのテープを見つけてしまい、自身が「脅迫の子供」の一人だと知ってしまう。既に時効を迎えた事件だが、曽根もまた事件を独自に調査し始める。

 

評価 B+

 

今月観た映画では一番面白かったです。

W主人公形式で、雑誌記者が小栗旬さん、子供の声に利用された曽根が星野源さん。星野さんの演技が良かったです。

この手のW主人公だとキャラクターの対比が必須になります。対比しないなら、一人でいいです。

主人公とは「苦難」があればあるほど主人公のレベルが上がるので、星野さんの演じるキャラは良かったですし、演技もぐっときました。

それに引き換えると、小栗さんのキャラはややスカしているように見えます。これは俳優さんのせいではなくて、設定ですね。設定上、たいして苦難が無いのでキャラクターとしての魅力で負けてしまいます。そこ、もう少し掘れた気がします。

 

で、本作の面白かった点は「構成」

構成の話しかしませんが、構成。

本作ミステリーなのですが、所謂「本格派」ではありません。本格派じゃないとどうなるかというと、トリックが無いのです。

つまり、犯罪の終始がちょいちょい穴食い状態で提示されたり、時系列がこんがらがっていて分かり辛くしている構成、です。

分かり辛くしてあるだけで、トリックとかは、ありません。

事件を追っていくと、色々ヒントが出てきて答えが徐々に分かります

ひと昔前だったらミステリーとは呼ばれなくて「サスペンス」だったと思いますが、最近はこれも広義でミステリーです。

何が言いたいかというと、

「ミステリーって書くのが難しそう! トリックとか考えられない!」

って言ってるそこのアタナ!

この方法が、オススメです。

本作の構成をパクってください。丸パクリでOKです。初心者におススメのミステリー構成ですし、けっこう昔からあるのに今尚人気のある構成です。

やり方は簡単。

現実のどこかから事件を持ってくる → 事件アレンジ → 犯行を1から順に書く → それをグチャっとして前後とか入れ替える → 入れ替えたものを、探偵役が追いヒントをみつけて解決する。

以前、「迷ったらこのジャンルを書け!」でも1位だったのがミステリーなのですが、伏線の仕込みやプロット作成や色々と勉強になるものが多いです。

その時に、↑を使ってみてください。お手軽ミステリーです。

因みに、私はホラーも混ぜる事が多いので「猟奇殺人事件」とかプロファイリングの資料とかから事件を引っ張ってきます。

本作のように伝説の迷宮入り事件でも良いですが、大体誰かが既にやっているので被る可能性大なので気を付けて下さい。

とりあえず、知っている現実に起きた事件をモチーフにして、事件をアレンジして、虫食い状態で小説内に出せばOK!

やっている事は現実の丸パクリですが、問題にはなりません。

「そんな事件、どこにでもありますよね」とか、言っておけばOK。実際、どこにでもある事件です。問題ナシ。

 

後、本作のように「赤の他人の主人公二人が別々の場所からスタートする」場合、出会うタイミングは決まっています。

そう、ミッドポイント!(話のちょうど真ん中)

これはほぼ絶対が付きます。だって、二人を合わせた上で対比させたり、絡ませたいじゃないですか。絡まないなら、そもそも主人公を分ける必要なし。でも3/4の後半で会わせると、尺が足らないので満足にシーンが作れません。

なので、ミッドポイントで出会うのはマストです。(本作もそう)

 

凄くお手本になる素晴らしい構成だったので、時間ある方は観てみてください。

原作小説