考察ガチ勢が選ぶ【おすすめ漫画評価】ベルセルク

honto


 

おすすめランク A  

こんな人にオススメ ⇒ 絶対に倒せない敵! を観てみたい方。

ストーリー 3.5
構成

3.5

4.5
キャラクター 4.5
総合評価   80  

【あらすじ】

巨大な剣を背負い、鉄の義手をつけた剣士・ガッツ。
彼の行くところ、血の雨が降り、死体の山が築かれる…! 
大ヒット!! 圧倒的迫力の叙事詩!!

(引用:Amazon公式より)

 

もう少し時期を置いてから……とも考えていたのですが、元々書評ラインナップに入っていましたので、書かせて頂きます。

終わりそうにない物語の代名詞となっていた本作ですが、現実的に終わらなくなってしまいました。

作者、三浦健太郎様のご冥福をお祈りいたします。

 

漫画「ベルセルク」

 

未読の方が多いと推察します。でも、「聞いた事がある」方は多いはずです。

そして、その聞いた相手が「男衆」だったと記憶されているはずです。

女性向きとは、到底言えません。

男が男であるための必読書!

それが ベルセルク!

 

プロレスラーになりたい、そこの貴方! 絶対に読んで下さい。

苦しみ、もがき、栄枯盛衰の中から、光ある未来を目指す熱い男二人の一騎打ちです。

血沸き踊るその戦いを、刮目せよ!

 

では、本作のポイントです。

 

 
名探偵
ポイント① 友情とは、好敵手とは、孤独とは……
 
名探偵
ポイント② 絶対に倒せない敵が、最大の魅力だね
 
名探偵
ポイント③ 主人公は、一人しかいないのだよ
 
 

ポイント①から見ていきましょう!

 

ポイント① 友情とは、好敵手とは、孤独とは……

 

本作のテーマを一言で表すのであれば、

男の生き様!

それに他なりません。フェミニストの方は読まない方がいいです。

女性軽視とも思える描写は多いです。

連載当初より、あちらこちらに気を使いながらバランス良く需要を獲得する作品ではありませんでした。

一貫して、男シェアだけをもぎ取ろうとした作品であり、男の思想、男の魅力、それだけを目指した作品です。

が、そうした作品は、無数にあります。

が、この「ベルセルク」。そこらの男子向けとは一線を画します。

 

「努力、友情、勝利」

この概念を、徹底的に深掘りします。

徹底的に! です。

「殴り合ったら、友達な!」的な爽やかさは、微塵もありません。

とことんまで憎み、苦しめ合い、それでいて「二人だけで」世界を進捗させていきます。

 

ここが凄い!

主人公とライバルだけの友情と決別、憎しみ合いだけで、世界は動いているのです

 

これだけ見ると「BL特性」がありそうですが、まず、無理でしょう。

絵面的にも主人公「ガッツ」、ライバル「グリフィス」は明暗分かれる容姿ですので書きやすいでしょうが、まずまず絶対に書けません。

二人とも、漫画史でも頭数個は飛び抜けた「俺様野郎」です。

「俺様」の中の「俺様」を決める戦い、そこから派生する「友情」、女性の取り合いの雰囲気など、同じ俺様野郎にしか理解できないであろう要素が盛りだくさんです。

男には、自分の世界がある。

その世界のぶつかり合いこそが、本作の最大の魅力なのです。

 

 

ポイント② 絶対に倒せない敵  

 

ベルセルクといえば、やはりこれ。
 
敵、強すぎ! 勝てる未来が見えない!
 
兎に角、敵が強い!
雑魚敵ですら、読んでいる最中
「え、これ、勝てんの?」
と思わされます。毎回ギリギリで勝っていますが、その経緯がとても熱いです。
作者もここで「これだ!」と思ったのでしょうか? 
どんどん敵が強くなります。マジでギリギリの戦いでなんとか勝ちます。
これが加速した結果……、
大ボスとされる「ゴッドハンド」に、勝てる見込みが一つも無い状態になっています。
実際に、未だにバトルシーンは一度も書かれていませんし、グリフィスが「ゴッドハンド」になって以降は、話がズラされている感じもあります。
 
その引き延ばし感は読者も理解しており、
「これ、どうやってゴッドハンドに勝つのか、作者も思いついてないだろ?」と、みんなが容易に分かるほど、
敵、強すぎ!
になりました。
そんな状況下ですので、最後の結末が読みたい作品の筆頭が、本作でした。
今回の件で「最後のネタバラシはあるの?」みたいな記事が飛び交いましたが、まずあり得ないです。
そんなものは、作者、編集者、誰の頭の中にも無いはずです。
ですので……
作者も読者も、最も辛い終焉となってしまいました。

 

 

ポイント③ 同一人物の夢物語だと考える  

 

少々、構成に触れます。

主人公「ガッツ」と「グリフィス」は、一人の人間の二面性を表現しています

 

ガッツは、純真に、簡潔に物事を捉え、実際に単純行動をしたいという行動心理の一つです。
グリフィスは、謀略、知略に溢れ、より広く物事を洞察したい行動心理の一つです。

 

通常、このどちらも、男性は持っています

ただ、一人の人間にできる行動は多くはなく、一つに傾倒すれば、一つはおざなりになり、その溝はどんどんと深くなっていく一方です。

一つの価値観だけで生きている人間なんか、そうそういません。

 

只これは現実の話。

漫画はどうでしょう?

漫画ないしキャラクターには「役割」が与えられます。一人に幾つもの行動心理があると、読み辛いからですね。

と、なると……。

 

現実で交差する二つの真理を、一人の人間として表現し、戦わせ、その結末で新しい何かが出るのではないか?

 

これが、本作のテーマです。

決して、二人の人物が戦っているのではありません。

一人の人間が持つ「理想A」と「理想B」のせめぎ合いです

ベルセルクが他の漫画と異なるのは、まさにここ。

キャラというのは、原理的に「作者という人物を分解する」事でしか作成できません。

でも、それだとキャラ数も限られてしまうし、物語に幅が無くなるかも? 

って、思いがちです。だから、薄い造形のハリボテキャラクターがそこら中に溢れます。

 

そんなハリボテ、いる?

 

いらないね!

 

俺は俺で、勝負する!

 

もう一度言います。

ベルセルクは、「俺様漫画」なのです。

 

徹底的に「俺様とは何か?」を追求した、俺様による俺様達への俺様の為の漫画。

それが、ベルセルク!

これを書ききってやるという、熱い、熱い物語なのです。

 

日本中の俺様野郎共! 

これを読み、居酒屋で朝まで語り合いましょう!

そんな作品、そうそうありませんから。