考察ガチ勢が選ぶ【おすすめアニメ評価】シン・エヴァンゲリオン

Amazon Primevideo


 

総合評価  74点
評価: 3.5「全てのエヴァンゲリオンファンへ、おめでとう。」
って言われたら、ジーンと来る人にオススメ。
初見さんいらっしゃい! ではない。


新劇場版エヴァ、結局全シリーズ映画館で観なかったなー。

まだギリやっているところあるかなー。

 

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え?

 

公開?

 

もう?

 

はい、まさかのアマプラで観れるという……。

最近は映画からサブスクまでが早すぎますね。

結局、新劇場版シリーズは全てアマゾンで観てしまいました。

 

さて、ガチ考察勢とか名乗っておきながら、普段シナリオ考察しかしていなので、たまには考察っぽい事をしてみます

 

資料や情報考察(整理)って、単に時間かかるだけの作業なので好きじゃないですが、本作シン・エヴァンゲリオン比較的分かりやすくストーリーに出ていたので、書いておきます。

 

※全てネタバレありです。

 

エヴァンゲリオンとは何だったのか?

 

初めにこれだけ書かせて下さい。

エヴァンゲリオンという作品がやろうとした事は、新しい何か? です。

 

顕著に顕れたのは、

・作画とデザイン → 映像

・言葉で語らないドラマ → シナリオ

の二つで、シナリオについては映像のおまけについてきたものです。

 

エヴァンゲリオンは、アニメ界の革命児ではありましたが、特徴は、極端に尖った「画」

漫画でも小説でも、極端に目立たないとブームにはならないですね。

特にエヴァが革命的だったのは、カメラアングルや構図

街とロボット距離感を出す遠近法、ビル群を足元に並べる構図。

これらは、「特撮の作り方」です。特撮をアニメに落とし込んだ構図で表現していました

 

時間表示のパネルを斜めから映すパース、艶めかしく中学生の体のラインを映すプラグスーツなどなど、センスも尖っています

 

またガイナックスの「トップをねらえ」、「オネアミスの翼」などから脈々と続くSF要素

「プリンセスメーカー」などのエロ要素

培った全てを使い、限界まで尖った映像に命をかけた作品が、エヴァンゲリオンです。

 

斬新な映像のパレードで、だからこそ、シナリオも尖りました。

 

メインプロットをほぼ書かない。

 

圧倒的に魅力的な絵があったので、詳細のストーリーを省き少年少女の葛藤だけにスポットを当てています。

小説ではまず不可能な作り方です。

漫画でもたぶん無理です。

映画でたまにやっている作品はありますが、基本はできません。

 

だって、観ている人が理解できないから。

 

エヴァもそう。理解できません。説明されてないんだもの。

それでも売れたのは、尖り切った画と、そういうものを求める時勢があったからだと思います。

狙ってできた事では無いでしょうし、ここまでのビッグタイトルになるとは、誰も予想できなかったはずです。

 

兎に角、油の乗り切った「今が全盛期クリエイター」の狂人的なエゴ作品こそ、エヴァンゲリオンです。

エヴァを語る多くの人は「なんだか良く分からんけど、好き」でしょう。

作家達の狂気にあてられた名作が、テレビ版(と初めの映画二本)でした。

 

 

エヴァ新シリーズの目的

 

三つです。

 

一つは、前作のオチが伝わっていなかったので、今回は分かるように書く

※これは、度々庵野さんがインタビューなどで語られています。

 

二つ目は、ファンサービス

三つ目は、クリエイターサービス

 

ビッグタイトルなので、各方面に影響があります。経済は勿論、アニメ業界の指針、また新しいクリエイター達の活躍の場にもなります。

特に本作、前作あたりは三つ目の意義が強いですね。

過度な見栄えが重視され、限界までアニメの可能性とエゴを追求していました。

 

ただ、本作はちゃんと説明する、が最大目的だったので、ちゃんと書かれています。

というか、テレビ版もちゃんと最後まで書かれているので、「説明を言葉で成した」という方がより正確です。

 

では本題に移ります。

考察というよりは、まとめ、整理です。

 

アスカの苗字が違う理由

 

animate

 

ちゃんと説明してくれてました。

二つ意味があります。

一つは、この映画版とテレビ版を区別する為。

たぶん、こっちが本旨です。

同じキャラクターなのに、苗字が違う。

あくまで別のシナリオとして考えてね! って意義。

 

本当はこれが目的でしょうが、あくまで作り手の意向なので作品に落とし込みます。

 

顏が同じで苗字が違う場合、パラレルワールドか、双子です。

 

本作に限った話ではなく、他のSFやミステリー作品も大体そうです。定番中の定番。

 

シン・エヴァンゲリオンでは、新アスカは、テレビ版アスカのクローンだったと、明かされました。

(最後、テレビ版のアスカと合体する)

分かりやすくて良いですね。

パラレルワールドというか、本作はループでしょうか? 最後にカヲル君がそんな話をしていました。

テレビ版の劇場版「まごころを、君に」の後、世界がループしたって事でしょう。

「まごころを、君に」のラストで、アスカは「気持ち悪い」と現実を拒否していましたから。

 

だから「序」は、初めから(TV版第一話から)やったんですね。

 

って、これも本当の理由は(エヴァならダイジェストだけで映画にしても売れるという)大人の事情だと思うのですが……、シナリオ上の言い訳に使われてました(笑)

 

あと、「エヴァンゲリヲン」が「エヴァンゲリオン」になっているのも、ループ、やり直しをしたって表現だと思います。タイトルに反復記号(の終わり)がついてますしね。

 

正直、こういうのだけで良かった……。

いちいち言葉で説明されると、エヴァっぽくない。

 

渚カヲル君は、お父さん

animate

 

別に説明してもらわなくていいのですが、説明されました(笑)

碇ゲンドウは「男」として、ユイを求める人間。

渚カヲルは「父」として、シンジを守りたい人間。

って事らしいです。

だから、最後にゲンドウとシンジは戦います

父と子の母親をかけた戦いです

キモイですね。

フランス映画とかにありそうな内容です。

こういうのって、言葉で説明されるとけっこう引きます。テレビ版が秀逸だったのは、この背景構造を語らず、画で濁しているから良かったんです。

ゲンドウはピアノが好きだったとか、別にいらないんですけども……。回想長いし……。

 

エヴァンゲリオンのシナリオ構造でもっとも重要なテーマが「父と子」であり、シンジ君がメインプロットである以上、ゲンドウはサブプロットなんですね。

サブプロットというのは、主人公の言動(視点)を通して、目的の達成、未達成を視聴者が理解できるのが最もスマートで美しいです

サブプロット側の人物が語り手になって回想シーンを書くとかは、正直、アマチュア臭くて観ていられませんでした。

 

まぁ、2.5時間も尺をもらえる人気作で、莫大な数の固定ファンがあるからこそできた事でしょうか。

熱狂的なエヴァファン以外の視聴者にとっては、説教を黙々と説かれているような苦痛がありました。

(某錬金術アニメの映画版を彷彿させる……)

 

 

真希波・マリの正体について

 

animate

 

新キャラ欲しかっただけだと思います。

こんな何度も何年も固定メンバーでやっていれば、飽きますもの。新メンバー欲しいです。

 

絶対にこれだと思いますが、そこにも説明が付与されました。

後、なぜか最後にシンジ君の彼女になります

 

いる? このオチ。

 

シナリオ上は必要なのですが、好き勝手やるのがエヴァ(TV版)だったので、劇場版は収まる所に収まった感じです。

「マリ」について。

「マリ」はユイやゲンドウの大学の同級生で、ユイには並々ならぬ思いを持っています。

時系列通りに並べると、

 

→ 先輩であるユイの助けになりたい
→ ゲンドウがカヲルとして使徒になる
→ 自分も使徒になる(だから歳をとらない)
→ でもユイの想いは、息子が生まれると同時に、そちらへ移行している
→ ユイの母としての想いを受け継ぐ。(継母として意志を受け継ぐ)
→ シンジが父から脱却して独り立ち(本作)
→ マリも肩の荷が下りて再出発(本作)

 

って感じです。

ネルフに逆らっていたのも、ゲンドウに対立する勢力が必要だからですねー。

 

こういう物語の中継役を担うキャラクターを、ストーリーテラーと呼びます。

完全にその役割ですね。

 

で、最後はシンジ君を受け入れます。

「気持ち悪い」なんて言わない。

一緒に旅立ってくれます。

 

なかなか都合の良い女ですね。

作り手の制御が掛かっているキャラクターで、言動も狙い過ぎていたりしていて、可哀そうなキャラクターに見えました。

 

只、個人的には、この可哀そうな感じが好きです。

現実と虚構の狭間で色々な役割を持たされる感じが、とても好感で、「シン」では一番良いキャラクターでした。

というか、「シン」のメインは彼女でしたね。登場シーンが多すぎる。

 

尚、現実と虚構についてはクドクド書かれていて、最後にアニメから絵コンテ、イラストボードに逆行していく場面にも彼女は現れます。

現実と虚構を代弁する役割、の表現でしょうか。

 

 

まとめ

 

二十五年ですかー、長かったですね。

初めの映画版までしかちゃんと観ていませんが、流石に今回で終わりでしょう。

耳にタコができるくらい執拗に「現実に戻る」って述べていたので、アニメは終わり! だと思います。

 

本作はシリーズ物のラストという点からもファンディスクですので、評価自体は高くありません。(私はファンではなく一般視聴者なので)

 

庵野さんも「シン」シリーズが好調で新たな居場所がありますし、エヴァの持つお役目も本作で決着が付いたのかな? って思います。

 

人気作のプレッシャーと戦い続けた姿は、本当に立派でした。

 

ガイナックス時代よりカラーにかけて、スタッフ皆様、お疲れ様でしたと拍手を送りたいです。

四半世紀、一時代を築く作品と同世代で生きてきた感慨がありますね。

 

さて、次の世代の覇者は現れるのか?

 

まだ見ぬ新世紀に、期待しております。