映画【おすすめレビュー】MEG ザ・モンスター

出典 amazon.primevideo 


おすすめランク C

こんな人にオススメ ⇒ 無駄な時間など存在しない。学びを得て自身の糧にしたい方

 

 

キャラクター 1
脚本 1
映像 3
資金力 4
評価点    40点  

 

 

 【あらすじ】

深海調査を行う調査員達は、突如、謎の生物に襲撃される。

なんとか海上へ逃げきるも、深海生物もまた表の海層へと進出してしまう。

謎の生物は、かつて海の王者として君臨した古代サメ、メガロドンだった!

 

ストレスと消耗の日々を送る最中、なにも考えず、只々ボケっと映像を眺めていたい時があります。

そんな時は往々にして、巨大生物を観ています。

という事で、Amazon Primevideo にてTOPになっていた本作を観ました。

 

……。

 

これは……さすがに……。

 

んん。いかに「ゾンビーバー」が優秀だったのかを思い知らされました。

→ ゾンビーバーの記事

 

結論は、上の評価点を確認して下さい。

酷評しても時間の無駄なので、どうすれば面白くなるのかを考察してみます。

 

point① キャラクターを考える

point② アクションを考える

point③ ロケーションを考える

 

ぶっちゃけ「それ、もう全部直せって言ってない?」という内容になりますので、ファンの方はここでブラウザバックして下さい。

 

では。

 

 

point①  キャラクターを考える 

 

登場人物って、出せば良いってものじゃないんです。

基本は3人で、3人以外はそもそも要らないです。これは全ての物語で言えます。

上手い作家さんほど少人数でシナリオを作ります

 

なぜ、3人なのか?

 

詳細はまた別で書くとして、単純に尺が足らないからと、余計な人物は目障りだからです。

キャラクターの性格や心情を表わし、それらをストーリーに乗せるには、幾つかの手順を必要とします。

 

心理が分かる行動A → 顕現(台詞) → その後の心理が分かる行動B

 

最低でも3つシーンを作る必要があります。

1つの心理状態に対して、最低3つです。

で、この心理が常々変化しなければ「ストーリー」にならないので、延々とこれを繰り返すわけです。

 

シナリオとは詰まる所、これの積み上げです。

 

多くの場合、主人公とヒロイン、導き手が居ますので、この三人を書くだけで手一杯のはずです。

本作を観て、こう思われた方が多いはずです。

「台詞が安っぽい」

こうなる理由は、行動Aが薄いから。さらに、台詞後の行動Bがなく、いきなり次の台詞にいくから。

積み上げ無しでこれを行うから、なんの説得力も無くなります。

台詞だけなら、中学生でも書けます。

 

これはシナリオにおける基礎中の基礎なのですが、なぜ、プロ集団がこれを見誤ったのでしょうか?

 

次の二つのポイントに集約されます。

 

 

point②  アクションに期待しすぎ 

 

アクションには二つ意味があります。

一つはpoint①の「心理を表わす行動

もう一つは「単なるバトル

通常「アクションシーン」と言われる場合、「単なるバトル」でしょう。

本作では巨大サメとのバトルが一番の見所ですので、ここが「単なる」バドルです。

 

単なるバトルで、観客を引き込めているという錯覚

 

本作に限らず、多くの作品で頻出の錯覚です。

確かに、魅力的なバトルや恐怖映像は目を引きますが、ここにもちゃんとドラマとしての手順が必要です。

何も無しでいきなりデカイだけのサメに食われても、それだけなんです。

で、この手順に更なる錯覚があります。

 

定番を使いすぎ。

 

こうしたサメ系のパニック映画、海洋系のパニック映画は無数にあります。

理由は一つ、ビッグヒットがあったから。

勿論、これの事。

以降の作品は、概ね模写です。

模写する理由は、「手順が省けるから」ですね。

世界中の誰もが観た事のある演出の模写ですから、気怠い手順をすっ飛ばせる!

 

という、錯覚!

 

手順を飛ばせる? んな分けないでしょ。

スピルバーグの演出は、スピルバーグが一貫性を持って作品に落とし込むから統一の世界観が作られるわけで、それを他所の人間が部分に使っても、違和感だらけの単調なハリボテなんです。

勿論、これを逆手に取る事もできて、B級映画などは「わざと」演出模写をしています。わざと、B級らしい安っぽさを演出する工夫として使っています。予算が無いから、B級主張するのです。

 

本作の予算、B級じゃないでしょ?

 

アクションシーンだけで観客が満足すると思い込んでしまっている、映画研究会がノリで作ったような演出の数々でした。

 

 

point③  ロケーションを考える 

 

面倒になってきたので、簡潔に述べます。

新しいと思ったシーンが一つもありません。

いや、あります。

 

ジャケット写真だけ、すごく良かったです!

 

あのポスター作ったデザイナーさん、ナイスです。あの表紙に期待を膨らませた人は多いはずです。実際には、あんなにデカイサメじゃなかったのですが、あの表紙に金を払ったようなものですので、良い仕事してます。

 

で、ローケーションですが、深海の描写、研究基地、ビーチでのパニック、なぜか小さな船で対決するなど、全て既出です。一万回くらい擦られているので、こうした定番を使い回すならば、最低でも一つ、飛び抜けたオリジナル映像が必須です。

 

それがデカイだけのサメだ! というのは、制作サイドの錯覚です。

 

他にも、脚本、小説、漫画などの原作志望の方は観ておいて欲しいのですが、ミッドポイントと呼ばれる「物語の折り返し地点」での転がし方ですが、「倒したサメは実は子供で、本当はもっとデカイ生体がいた」という内容。

それは良いしとしても、これだけで物語は動きません。人物達の置かれている立場も、立ち向かう目標も、心理状態も、なにも変わっていません。

ですので、只々「同じ事をもう一度繰り返すだけ」になっています。

人物(主人公)に変化が起きる「折り返し」にしなければ、ストーリーは動きません。 ◀ココ重要!

実際に、動かなかった例として観て欲しいです。

 

まとめ

シナリオライターを目指す方は、ある意味で観ておくと良いかもしれません。

反面教師としての評価は、非常に高いです。

酷評ばかりなので、一応補足しておきます。

こうした巨額の資金で製作する場合、必ず市場調査が入ります。

これで良い! という判断が幾人もの許諾の中で行われたはずですので、あくまで、これを受け入れる市場だと想定された結果、制作されたはずです。(監督や脚本などの責任ではない)

誰が受け入れているのかは知りませんが、そういう市場があるというのも発見の一つですね。