映画【おすすめレビュー】シンゴジラ

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おすすめランク A

こんな人にオススメ ⇒ 往年のゴジラファン。近年のエヴァファン、軍事ファン。

ストーリー 4
脚本 4
映像 4
キャラクター 4

総合評価   82

 

 【あらすじ】
東京湾に突如として現れた、巨大海洋生物。
その実態は、地球上で最も進化した存在。
人はその生物を、「ゴジラ」と名付け、撃退に挑む。

 

サムネは「シンゴジラwalker」というマニア向け雑誌(発行KADOKAWA)で、めっちゃマニアックで面白かったので、興味ある方は読んでみてください。

さて、そろそろ「シンエヴァンゲリオン」書かないとなぁ、その前に観ないとなぁ、とAmazonプライムの予告観ていたのですが、

(↓これ)

 

その前に「シンゴジラ、書評してない!?」事実に気づき、急遽書かせて頂きます。

「シンゴジラ」の私的評価はすこぶる高く、詳細なシナリオ構造の解析とかもしたいので、今回は外堀だけ埋めていきます。

 

なぜ、社会現象的に人気作品となったのか?

 

ポイントを三つ考察します。

 

point① 庵野秀明ファンディスク

point② からの、裏切り

point③ ちゃんと終わる。けど続く

 

一つ一つ見て行きます。

 

point① 庵野秀明ファンディスク

 

最早、押しも押されぬレジェンド監督となった庵野秀明氏ですが、やはり世間体のイメージは「エヴァンゲリオン」。

還暦前に他にも何か一つ残しておきたい意志があったと思います。

そこで作られた作品が、特撮

 

庵野さんと言えば、特撮ファン。

同級生の島本和彦氏「アオイホノオ」でも散々にネタにされた経緯もあり、周知されています。

とりわけ「庵野ウルトラマン」は有名で(今知ったのですが「シン・ウルトラマン」制作中らしいですね)、スター監督となった庵野さんが、ついに原点である「特撮」を撮るという話題性もありました。

 

個人的な期待は、「どのゴジラでいくのか」でした。

補足がてらお話すると、ゴジラには大きく2パターンあります。

 

・怪獣大戦争系

・初代ゴジラ系

 

多くは怪獣大戦系です。大好きな「ゴジラVSビオランテ」とか「ゴジラVSキングギドラ」とか、人間を救うヒーロータイプのゴジラです。

子供向けに作られている場合が多くて、私の幼少期も夏休みといえば「ゴジラ」でした。

派生のモスラとかも同じです。

(是非、吹奏楽で↓)

 

ですが、本来の昭和ゴジラが目指していたのは「パニック&ホラー」です。

巨大生物が、東京を一周する。

それだけの内容です。

ここに込められた恐怖が、後に「戦死者の霊の集合体」だとか色々と都市伝説も加えていますが、あまり興味ないので割愛。

 

さて、庵野さんはどちらでやるのか?

 

予想は昭和ゴジラでしたが、んん、体としてはそちらだったのですが……。

全然違いました。

 

エヴァンゲリオンでした!

まさかと目を疑いました。

まさかエヴァンゲリオンを、ゴジラでやるとは思いませんでした。

 

エヴァファンには必見のゴジラです。

 

これを観ずして、エヴァファンを名乗っては駄目! くらいに、エヴァをしています。

 

んと、

 

エヴァしてます」には、意味が二通りあります。

一つは、エヴァを模したシーンや音楽をふんだんに使用している点。これはファンサービスでしょう。

 

もう一つ、こちらが重要です。

重要なので、ポイントに分けます。

 

 

point②  良い裏切り 

 

確かにエヴァンゲリオンなのですが、それは見た目だけの話ではありません。

精神も、あの頃のままです。

エヴァンゲリオン(ガイナックス)が作ったもの。

それは、

 

「特撮をアニメへ」

 

カットの割り方や、遠近法の使い方などが「特撮」なんです。

特撮のやり方を、アニメへ持ち込んだのです。

それに加え、斬新なカット割りやレイアウトを重要視して、若い才能をとことんまで爆発させました。

それが、若者の心と刺激を捉えたのです。

 

では、ゴジラはどうだったか?

 

「アニメを特撮へ」

 

アニメと特撮……実写の違いは、演者です。

アニメにも声優という役職はありますが、声優次第で絵が変わる事はありません

絵に、声優が合わせます。(この構造を逆転させたのが、高畑勲氏の「思い出ぽろぽろ」)

 

実写映画は、役者に合わせて絵が変化します

これにはいくつか問題点があるのです。(勿論、良い部分もある)

最大の問題点は、

「役者力量に、出来が左右されてしまう」

あと

「役者が演技過多になる」

でしょうか。特に、日本は後者が目立ちます。「わー」「きゃー」言い過ぎて、煩い。

商売上、そうやって目立とうとするので、リアリティが全然ない演技が多いのです。

 

別に、それを否定している分けではないのです。

仕組みがそうなっているのですから、その中で生きようとするのは当然

 

じゃあ、仕組みを変えよう!

 

アニメみたいに、制御してしまう仕組みにすればいい。

例えば、

「決まった時間内で台詞を喋らせる」とかね。

 

はい。「シンゴジラ」では、聞き取れないほどの長台詞を、超早口で喋らせています。

これが、狙いです

 

オーバーな演技をさせない。演技プランを制御下におく。

つまり、アニメの仕組みです

 

こうしたアニメ作法を持ち寄り、「リアリティ」追求をしたのです。

本作の大テーマの一つが、この「リアリティ」

これを体現させる為に、様々な手法が練り込まれています。

 

「シン」

 

とは、ゴジラだけではなく、映像業界そのものの仕組みにメスを入れるという意味があり、これは正に「エヴァンゲリオン」でガイナックスが目指したものだったのです。

一見すると「エヴァやってるだけ」ですが、その心意気までエヴァをやっているのは、良い裏切りだったと言えます。

そして、エヴァには無い、もっと良い点もありました。

 

 

point③ ちゃんと終わる。

 

うんうん。

ちゃんと終わるの、大事。

 

最後に変な余韻を持たせていましたが、あれはファンサービスなので書評では無視します。

(でも補足)

んと、「教授は何を目指していたのか?」とか「尻尾の先の人間の躯は?」とか、その辺りの事です。

みんな、そういうの観たいでしょ?

だって、エヴァンゲリオンの制作陣が作っているんだから、都市伝説的な考察したいでしょ? エヴァの時みたく……、っていうファンサービスです。

本質に関わらないですし、答えは絶対に出ないので無視します。

 

それよりも、あの地味な作戦をクライマックスに持っていった手腕に着目すべきです!

いつか台詞とシーンを一つ一つとって解説するので、今回は概要だけ。

 

論理的に理解できる終わらせ方を、起承転結全てを総動員して表現していました。

 

「手順」が、見事でした。

シナリオ講座で使えそうなほど秀逸でしたので、そっちの上級編でやります。

一先ずは、ここまで。

書きたいのですが、とんでもなくなく長くなるので……。

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まとめ

 

昭和ゴジラから、怪獣大戦争から、パニックあり、笑いあり、エヴァありと、エンターテイメント性に優れた作品です。

かつ、新しさを求める熱も、制作陣は一切冷めていないです。

五十代からの「シン」シリーズの立ち上げ……。

色々と意義の大きな作品で、傑作だったと思います。