おすすめランク B-
こんな人にオススメ ⇒ 女性向け少年誌が好き。人間ドラマや細かい機微が好き。
ストーリー | |
構成 | |
画 | |
オリジナリティ | |
総合評価 68点 |
【あらすじ】
時は大正時代。炭を売る心優しき少年・炭治郎の日常は、家族を鬼に皆殺しにされたことで一変する。唯一生き残ったものの、鬼に変貌した妹・禰豆子を元に戻すため、また家族を殺した鬼を討つため、炭治郎と禰豆子は旅立つ!! 血風剣戟冒険譚、開幕!!
去年は正に「鬼滅の年」でした。
あっちでもコラボ、こっちでもコラボ、映画を出せば歴代興行記録を塗り替える、破竹の勢いでした。
売れるには売れるなりの理由があるので、今回は商売目線で考察してみます。
ポイントは三つ!!
では、ポイント①から見ていきましょう!
ポイント① 女性人気
漫画に限らず、流行を作る強烈なキーは「女性」です。
男性での流行は局所的、特化的に収束してしまう事が多いのですが、その理由は「共感」を他者に強要する社会システムを持っていないからです。
女性に受けるかどうかは重要なんです。
本作、「週刊少年ジャンプ」掲載ではありますが、作り方が明らかに女性的です。
絵の線が……、意外にも構成的に確認できます。
やけに敵側の回想シーンが多い。
バトル終盤で必ずと言って良いほど「敵側エピソード」が入りますし、長いです。
これは女性作家の特徴ですし、女性読者の傾向でもあります。
「人間ドラマ」が読みたいのですね。
後、キャラクターですが、顕著に行動しない無口な水柱に女性人気が集まっているようですが、男はああいうタイプが嫌いです。
人気を取る為のキャラ配置をする場所に彼が置かれているのは、女性視点の作りなんです。
細かく述べれば山のように「女性らしさ」が出てきますが、それをお持ち帰りできる女性層に認知された点が流行となった一因かと推察します。
このような書き方をすると
「じゃあ、女性受けすればなんでも流行るの? 少女漫画は全部売れるじゃないか! はい論破」
というお子様が出てくるはずなので、次の点で補足しておきしょう。
ポイント② 展開の速度
人気絶頂時に最終回を迎えた事でも有名になりましたが、ここで終わる予定にしていなければ、鬼滅は売れませんでした。
展開速度が、異様に速い。
本作の持ち味であり、私の評価点が高いのもここです。
重要なエピソード(キャラクターの生死など)が、読み切りレベルの速度で展開されています。
この速度感が、サクサクとページを捲る爽快感と、印象の濃い演出を浮彫にさせる結果を生みました。
このような構成になった理由は大きく二つ考えられます。
- 少年誌に対応する為
- 時代に対応する為
②については先日、「呪術廻戦」についても同じ事を述べました。
こちら → 漫画【おすすめ考察】呪術廻戦
もう今の時代、説明なんか読んでくれないんです。
どんどんすっ飛ばしてスピードを上げないと、別の媒体(YouTubeやらスマホゲームやら)に逃げられちゃいます。
この思惑はあるのでしょうが、鬼滅について重要なのは①。
少年誌対応する為です。
男の子は、「バトル」と「決着」と「必殺技」以外に興味無いんです。
人間ドラマとか、マジどうでもいいんです。視覚的に分かりやすいものをサクサク読み、最後の結論があればそれで良い。
そういう速度感で読んでいるんです。
人間ドラマの欠点は、テンポが悪くなり話がダレます。
これを解消し、少年誌対応にする為にも押せ押せの前倒し展開は必須でした。
女性対応の「人間ドラマ」、男性対応の「速度感」を良い所取りしているのですが、当然、混在させるのは難易度が高く、実際にアマゾンレビューなんかでも「説明が無い」とか「ご都合主義」とか描かれています。
が、そんなもの狙ってやっているに決まってます。
天下のジャンプ編集部ですよ?
そのくらいの事、分かってやってるに決まってるじゃないですか。
相当上手く纏めていたと思っています。
じゃないと、流行なんかになるはずも無いのです。
ポイント③ アニメの大ヒット
結局、ここにはなってしまうかな? って感じです。
総論にはなりますが、漫画単体でヒットを出すのは難しいと思います。
アニメの出来が全てを左右している、と言っても過言じゃないはずです。
それだけアニメを観られる媒体が増えましたし、ブログ内のそこら中に貼ってるアマゾンプライムとか月額500円ですし、何よりアニメのクオリティは上がる一方ですし、読者がここから入るのは仕様が無いですね。
一応貼っておきます(笑)
アニメの出来が良かったです。
上記の通り、漫画は絵やストーリーに癖があるので、アニメを観てから原作読むかどうかを決めても良いかもしれません。
只ですね、アニメは移り変わりが早いので、ブームが終わるとそのまま原作も忘却されちゃう可能性もあるんですよね。
2期をやるまでブームが持つとも思えませんし、短期収益型でコラボ祭りしたのは凄く良い判断だったと思います。
漫画は連載序盤はけっこう苦戦していた記憶があるので(掲載順位がずっと低かった)、何はともあれ人気が出てくれて良かったです。
因みに、総合評価を「68」点にしているのは、単に呪術廻戦の方が好きだからです。