魂のヘヴィメタル おすすめ9選 欧州メタル編




かつてその音楽は、世界を熱狂させ、若き熱狂の起爆剤であった。

今では子供達の口から発せられる事が無い、旧世代の遺物……。

 

ハードロック / ヘヴィメタル (HR/HM)

ハードロック/ヘヴィメタルは今尚、ハードロックカフェ、ハードロック居酒屋、テクニカル系音楽ユーチューバーにより日々語られている。

ハードロック・メタルは、終わったのではない。

 

布教が足らないだけだ!

 

脈々と引き継がれるマニア魂は、今日も一人のマニアに、筆を執らせるのである……。

ってな事で、ハードロックのランキングをします。

ストーリーと関係無くね?
無理やりやってね?

いな! 断じて、否!

物語を書く時、多くの作家が勝手に主題歌をどこかから持ってきて、そこからイメージを作っています。

音楽って、イメージを作る作業には欠かせない相棒なんです。

格好いいシーンを作る時、いつでもハードロックが頭の中で鳴り響いています。

だから、ランキングする!

それを無理やりだと捉えるか否かは、貴方次第です。

 

注意① あくまで、アニメや映画に合いそうなハードロック/メタルランキングです。

注意② 今回は「欧州」限定です。「アメリカ篇」「イギリス篇」「その他国篇」はまた別でやります。

では、行きましょう。

 

 


9位 Arch Enemy(アーチエネミー) 「Dead Eyes See No Future」

YouTube公式(曲は「Ravenous」)

 

初めに言っておきますが、順位は上位以外あってないようなものです。上3バンドは流石にレジェンドなので格上ですが、それ以外は人によってかなり順位が変わるはずです。

で、私の場合「アーエネミー」は10位です。

最近まで「アーエネミー」だと思い込んでいたから、というあるある理由ではなく、単に物語的なイメージが沸き辛いからです。

 

このバンドは所謂「デスメタル」というジャンルで、声をガラガラに嗄がらせて、地獄の亡者のようにして発音する、あの系統です。

CDやらで聞くと、ゴリゴリマッチョなオッサンがデスマスクでもして歌って居そう……なのですが、本バンド、

 

女性ボーカルです。

 

がっつりしゃがれた声で、パワフルな声量を発揮しています。

今回の【欧州メタル】の特徴でもあるのですが、西洋的なゴシック音楽を基調としています。バッハとか、あの感じの旋律をメタルに取り入れるのです。

中でもアーチエネミーの強みは、「ドラマ性」。普通にメタルをするのではなく、映画音楽のような壮大な雰囲気が入ってきます。

選曲した「Dead Eyes See No Future」なんて、まさにそう。

途中に、弦楽も駆使した映画のような音楽が入ります。

 

これが【欧州メタル】の特徴です。

 

様式美とメタル専門雑誌の『ヤングギター』やらでは言われていますが、クラシック音楽を取り入れるのが特徴です。

そこに加えて、女性ボーカルを据えた構成で、更なるドラマ性を追求したのが、アーチエネミー。

もう一度書きますが、正直、アニメPV向きじゃないです。でも、好きなので趣味枠で入れました。

※公式に本曲がなかったので、別の代表曲をYouTubeリンクにしてます。ライブでは最強に盛り上がる一曲です。

 


8位 Sinergy(シナジー) 「Spit On Your Grave」

急にマニアックになってすいません……。

マニアックになった事にも気づかない一般読者様、更に申し訳ございません。

こちら、メインバンドの曲ではありません。

 

派生バンドの曲です

 

このバンドは、「アレキシ・ライホ」というスーパーギタリスト&ボーカル(独りでどっちもやる)のメインバンド「Children of Bodom」の派生バンドで、ボーカルはアレキシの奥さんキンバリー・ゴス氏です。

(こちらも女性ボーカル。この世代ではアーチエネミーのアンジェラ氏と二大女性メタルボーカリスト)

アレキシ氏は、メタル界では超新星で輝かしいスター性を誇ったスーパースターです。

彼を一言で表現すると……。

 

一人で、できるもん!

 

はい。通常、ハードロックであれ、メタルであれ、ボーカルもギターも作曲作詞も、人気も看板も兼任する人は、そうそういません。(ビートルズの二人とか、クラプトンとか以外では)

 

彼は、一人で全てを担いました

 

メインバンドである「チルドレンオブボトム」では、リードギター兼ボーカルです。

※このバンドも「デスメタル」であり、嗄れ声のデスボイスです。

めちゃくちゃスピード感があって、一体感がずば抜けて良いです。

 

だって、一人でほぼ完結しているから。

 

チルボトと言えばアレキシ、アレキシといえばチルボト。

そんな彼が、「俺、ギターだけやりたい」と言い出して急遽始めたのが、このバンド「シナジー」です。

とか言いながら、ボーカルは彼女だし、バンドメンバーはチルボトの面々だったので、「これ、チルボトとやってる事変わらなくね?」っとなって、結局は解散になります。

 

でも、当時の若者は「あのアレキシが、ギターだけに専念? それ、ヤバイんじゃない?」って昂奮しました。私も学生時分でしたが、傍から見てもアレキシに掛かる責任が大きすぎたので、気ままにギターだけやって欲しいと思っていました。

自由にギターと作曲に専念したら、どうなるの?

 

これが出来ました!

格好いい!

 

シビれました。5秒で格好いい。

あぁ、メタルの話ばかりしているので、ちょっとストーリー的な話もします。

アニメの挿入歌と、映画の挿入歌では曲の使い方が異なります。

ジャンルによっても違います。

インパクトのある小節までが長いと、30分のアニメ向きではありません。

挿入歌には、「尺問題」が常に付きまといます。

「5秒で格好いい」のか「1分で格好いい」のかは、作り手からみると全然違います。

映画のサントラアルバムを聴いた事がある人は、皆さんこう思ったはずです。

 

「なんで、同じ曲が何パターンも入ってるの?」

 

尺や演出によって、使い方が異なるからです。

その全パターンをアルバムに収めているので、同じ曲を何パターンも聴かされます。

中でも最重要は、「5秒で格好いい」です。

 

この「Spit On Your Grave」。

マジで、5秒で格好いい曲です。

 

というか、アレキシ……。

本当に大好きだったし、僕等のヒーローだったよ。

ご冥福をお祈ります。

 


7位 Sonata Arctica(ソナタ・アークティカ) 「Weballergy」

んん、私の世代がもろにバレるランキングですね。

無問題。

 

少し史学をします。

世界には欧州と米国、日本やら色々な国がありますが、歴史の継承にはパターンがあります。

中でも分かりやすいのが「欧州

以前「哲学」特集でも話しましたが、欧州は「体系」です。

 こちら参照 → 「初心者向け西洋哲学」

 

「体系」とは、「Aさんがこう言ったから、Bさんはこう。Bさんがこうしたから、Cさんはこう」

という形で、ピラミッド状に枝分かれしていく形態

つまり「この人は、この人に、この音楽はあの音楽に影響された」という系譜が重要です

非常に保守的な考え方ですが、保守的も欧州ほど極まっていれば芸術です。

むしろ、ここに反発を覚えるのは、アメリカ自由主義の影響化にある証拠です。

 

基礎は基礎できっちり習得してから、自分達のやるりたい事をする

 

それが欧州文化です。

メタル界でもそれが顕著であり、特に分かりやすく継承発展を目指したバンドが、ソナタアークティカ(以下、ソナタ)。

 

特徴はスピードメロディアスで耳馴染みの良い旋律、場面転換の多い構成スタイルです。

んと、ここを検索された方は概ね「ハードロック/ヘヴィメタル」ファンでしょうから、言いたい事は分かります。

 

それ、欧州メタルの、そもそもの特徴じゃん。

 

そうなんです。

そもそも、この三つをどう配分するかが欧州メタルなのです。

では、ソナタはどうなのか?

 

全てをオールマイティにカバーしました。

 

ミュージシャンへの言い分としては良く無いのでしょうが、平均的です。

ですが、まとまりがあり、キャッチーで、分かりやすい。

結果的には売れましたし、特に、日本で売れました。

実は、ハードロック界において、最重要のマーケティング国は「日本」です。

根強いファンが人口比率的に多く、金銭的にも裕福ですので、日本で売れるというのは、めちゃくちゃ重要です

日本で売れる為に、日本で稼ぐために、様々なハードロックバンドが来日します。

この時期は先のチルボト、アーチエネミー、ファイヤーウィンドなど欧州メタルが盛んでしたが、たぶん、ソナタが一番人気があったと思います。(あくまで体感)

特に女性人気が高かったです。

 

分かりやすいから!

 

難解で小難しい作品も良いですが、伝わる事がまずは先決。

ストーリーの話にこじつけると、場面展開が多く、日本人の耳に馴染みやすいフレーズも多いので、非常に使いやすいはずです。

そういうアニメに使いやすいだろうというイメージで「Weballergy」を選出しましたが、「Black sheep」でも「wolf&Raven」でも良かったです。

 


6位 Royal Hunt(ロイヤルハント) 「Martial Arts」

 

YouTube(公式)

 

おいおい、どうした急に? 他に入れる曲はあっただろ?

 

という、マニアの皆様の声は無視します。

おそらく、近年の日本で最もヒットした欧州メタルの一曲です。

そう。

 

蝶野正洋(プロレスラー)の入場曲です!

(プロレス版タイトルは「CRASH 〜戦慄〜」)

 

どこかで聴いた事がある人も多いはずです。

制作しているのはロイヤルハント

因みに、

武藤敬司氏の入場曲「TRIUMPH」

も、ロイヤルハント(のアンドレ・アンダーソン)が制作しています。

この二曲を聴いて育った男子は多いはずです。

 

なぜ、プロレスの入場曲に使われ、またヒットしたのか?

 

5秒で格好いいからです

これくらいのスパンで格好良くないと、挿入歌としての適性が無いんです。

プロレスの入場は、数分で終わります。内藤みたくぐだぐだやってる場合は別にして、この数分、なんなら入場で姿を現したその瞬間が、プロレスの最高潮なのです。

そういう風に設計されている曲。

だから、アニメにも非常に使いやすいです。

私は「Flight」が好きなのですが、こちらも5秒で格好いいです!

因みに、ロイヤルハントは先ほど挙げた3バンドの先駆者的なバンドであり、華麗スピーディ華やかなメタルを作ったバンドで、やはり特に日本で売れました。

 


5位 Rhapsody(ラプソディ) 「Emerald Sword」

むしろ、こちらの方が入れるかどうか迷いました。

だって、既に布教済みだから!

 

十年近くは前でしょうが、ニコニコ動画で布教され、一次的に話題になりました。

一次的でも嬉しい!

 

という事で再布教です。

このバンドに限らず、欧州メタルのテーマの一つに「龍と剣(騎士)と魔法」ってのがあります。

ラノベかよ!

って感じでしょうが、そもそも、ラノベの「龍と剣と魔法」は欧州の王道ファンタジーからの転用なので、向こうが本家です。

そうした王道ファンタジーストーリーに「音楽を付けてみよう」って流れが脈々とあり(DIOとかから始まった)、このラプソディもその系統です。

 

そして、このジャンルを、一気に飛躍させました。

 

映画でも観ているのか? ってほどに、壮大に仕上げます。

ダイナミックかつ流麗、荘厳なる世界観を、是非、一度聴いて欲しい。

日本でもぶっちぎりで人気のあるバンドです!

むくむくとシナリオ構成が浮かぶ曲ばかりです。

只、西洋ファンタジーしか浮かばないので、注意は必要です。

 


4位 Stratovarius(ストラトヴァリウス) 「Black diamond」

オープニングテーマ用に選出しました。イントロが程よく長い上に、雰囲気抜群なので使いやすいです。

あからさまなバロック調ハープシーコードからの、バロック調メタル。

ベタすぎる感じがありますが、それこそれがストラトヴァリウスの良さです。

西洋特有の美しさを、純粋な部分だけを抽出した作りになっています。

 

本作の良い所は、出込み引っ込みがはっきりしている所無駄な雑音が少ない所にあります。

 

私も青年期は少々物足らない気がしていたのですが、今となっては、これくらいが丁度良いです。

若い作品って、がちゃがちゃと色々なモノを入れ過ぎていて、主張が強すぎて、聴いていて疲れるんです。

その辺りを、良く分かっています。

如何せん、キーボードがあのイェンス・ヨハンソン。数々の名バンドを渡り歩いたキーボードの名手が作り上げる、安定したバンドです。

 

先ほど、「5秒で格好いい」と述べましたが、それ以後もずっと主張し続ける作品が大半です。

アニメ的には、「5秒以降は、ちょっと静かにしておいて欲しい」のです。挿入歌はあくまで演出の一つなので、それがメインではないのです。

その要望に応える音楽を探すなら、ストラトヴァリウスだと思い、選出しました。

 


3位 Helloween(ハロウィン) 「Mr. Torture」

マニア達をブラウザバックさせる為の選曲……。

ではないです!

 

何度も申し上げます「アニメPV作るならコレ」という選曲です。

この弁解が意味不明な方が圧倒的多数だと思われますので、説明します。

「欧州は、体系文化だ」と申し上げました。

誰かから始まった文化を、あーでもない、こーでもないとこねくり回して新しい物を作る文化です。

 

となると、始まりが必要な分けです。

 

哲学で言えば「プラトン」「アリストテレス」ですが、音楽はどうでしょう?

ヘヴィメタルは、誰でしょう?

 

ハロウィンです。

 

ハロウィンを本流とした流れを「ジャーマンメタル」と呼びます。(最近ではパワーメタル)

尚、ここまで紹介してきたバンドの全てが、ハロウィンの影響下です。

皆、ハロウィンに憧れてバンドを始め、継承し、今尚続く欧州メタル街道を作っています。

 

欧州メタルの総本山こそ「ハロウィン」です。

 

ですが、このハロウィンにも色々と歴史があります。

1期、2期、3期とあり、本作「Mr. Torture」は3期です。3期も後の方です。

 

伝説は、1期と2期です。

 

だから、マニア勢の「は? 『守護神伝』ちゃうんかい!」は理解できます。

伝説のバンドの伝説のアルバムは間違いなく「守護神伝」です。

2期と3期の分かれ目は、メインギタリストの二人「カイ・ハンセン」と「マイケル・ヴァイカート」の決別……。

 

音楽性の違いにより……!

 

っていう、例のアレです。

この名文句は皆様嫌になるほど聞いていると思いますが、このバンドもそれで決裂しました。

 

が!

 

ちゃんと、音楽性の違いを後に示した、数少ない成功例となります。

流石は、伝説です。

「ハロウィン」を継続したマイケル・ヴァイカートは、よりキャッチャーに分かりやすく印象的に劇的に! を目指します。

本作「Mr. Torture」は、まさにそれの顕現です。

この曲、『印象』だけを特化させています。

Aメロとサビしかないのです

 

そのどれもが格好いい!

 

切れ味抜群。どんなPVでも使えそうです。

短時間で印象を残す為の音楽としては最高峰だと思います。

 


2位 Gamma Ray(ガンマレイ) 「Tribute to the Past」

ほらよ、マニア共。これが欲しかったんだろ!?

 

私も欲しかったよ! アーライ要素が足りなかったんだよ、このランキングには!

 

さて、先ほどの続きです。

「ハロウィン」を「音楽性の違い」で脱退した「カイ・ハンセン」が作ったバンドがこちら、ガンマレイです。

正直、このバンドは「ハロウィン」と持ちつ持たれずなので、2位と3位は同率と見なして下さい。

ハロウィン時代から、カイとマイケルの音楽性の違いは分かっていました。勢いのカイ、構成のマイケル。この二人がバチバチしながら作り上げた「ハロウィンの1期2期」が奇跡だったのです。

 

袂を分かれ、個性はより特化しました。

 

ガンマレイの主人公は「カイ・ハンセン」。攻撃的な演奏と、勢いと、魅力で押し切るハードロッカーの鏡です。

ロックって、こういうもんだろ? を地で行くレジェンドが、カイ・ハンセンです。

 

マニア向けは、こちらです。

 

ですが、カイは我が強すぎるので一般層には受けない事も多いです。

そんなカイに才能豊かなラルフ(ボーカル)が加わり、ハロウィンを越えたんじゃないか? というほどの勢いを持っていた頃が、この「Tribute to the Past」をやっていた頃です。

 

僕等のギターヒーロー「カイ・ハンセン」。

全盛期の作品です。

 


1位 イングヴェイ・J・マルムスティーン 「Far beyond the sun」

首位は勿論この方、「王者」イングヴェイ・J・マルムスティーン。

王道とは……、彼の歩む道の奇跡を指す。

バロック調音楽を速弾きするスタイルは、彼が流行らせたものです。ウリ・ロートとかが既にやっていましたが、世界的に流行らせて、メタルと言えばこれ! という一時代を築いたレジェンドです。

 

ギターキッズの登竜門であり、誰しも一度は潜った門でしょう。

 

クラシック音楽をガッツリ取り入れ、難しい運指も盛り沢山。

パワーコードだけを巡回して、

ギターってちょろくね?」

って思っている中高生あたりを打ちのめし、この先にもっと広大なテクニカル草原が広がっていると悟らせます。

非常にテクニカルな反面、精神はロックンローラーですので、情熱的なチョーキングは唯一無二。また、「俺様」的な名言を数多に残しているので、これを追うだけで楽しくなってくるプレイヤーでもあります。

 

「Far beyond the sun」は、代表曲であり、時代を作った珠玉の名曲。

既にゲーム「イースⅣ」で使われているように、ゲームや西洋系バトルのボス戦にぴったりの曲です。

耳にタコができるほど聴いて、指にタコができるほど弾きまくった、キターキッズは必ず知っておくべき一曲でしょう。

 

 

まとめ

今回は欧州に絞りましたが、次は「アメリカ篇」「イギリス篇」「その他の国」と分けます。

その前に総合ランキング挟むかもしれないです。

分けている理由は、違いが大きすぎるから

例えば、「ボン・ジョビ」と「イングヴェイ」でどっちが良い? と訊かれても、ジャンルが違い過ぎて……否、背景が違い過ぎて、比べる土台が根本的に違うのです。

欧州は、兎に角、体系。誰かのアンサーに自信のアンサーをぶつける。

音楽に限らず、それが根付いている文化ですので、「誰が良い」「彼が良い」と言い切る事ができる、とても良い文化だと思います。

 

メタルよ、永遠なれ!

 

本日のメタルあるある

メタルマニア達は「ヘヴィメタ」と言われると、イラっとする。

以上。ではまた、アメリカ編で。