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おすすめランク B-
こんな人にオススメ ⇒ 圧倒的に美しい、臨場感のある新体操! が観たい!
ストーリー | 2 |
構成 | 2 |
画 | 4 |
キャラクター | 3 |
総合評価 70点 |
あらすじ
双葉翔太郎は中学時代の最後の夏に偶然男子新体操を知り、その世界へ強烈に魅了される。
私立蒼秀館高等学校へと入学した翔太郎は、中学男子新体操のスターであった同級生の美里良夜や個性的な先輩と熱い青春生活を送ることとなる。
(ウィキペディアより)
ピークから遅れてやってくる、アニメ書評コーナー。
今回は
「バクテン!!」
バクテンとは、バック転の現代語訳です。
即ち、体操。
体操ものと言えば私達世代では例のアレですが、
本作は伸身ゲイロード一回ひねり(フジマキ2)をする分けではありません。
新体操と言えば、浅倉南を筆頭に女性のスポーツというイメージがありますが、本作は男子新体操、団体!
綺麗な男達が、華麗に組み合うのです。
昨今はテレビなどでもドキュメントをしていたりで、なんとなく見た事がある方も多いはずです。
今や、鹿児島実業といえば定岡正二さんではなく、新体操部の時代。(野球部は今も強豪校)
知らなかったけど、我が地元の智頭農林高校(鳥取)が強豪だったりと、意外性抜群。
注目していたスポーツがアニメ化されました。
また本作「バクテン!!」は、舞台が宮城県。震災復興支援として作成された経緯もあります。
(フジテレビ製作)
そうした背景もさることながら、只々単純に、この手のアニメが好きです。
個人的に好きです。
『ユーリ!!! on ICE』が好きで(こちらは日テレ)いつか書こうと思っていましたが、いい具合の前振りになりそうです。
必見ポイントが第一話目の4分にあるので、時間の無い方にもオススメです。
見ごたえ抜群の競技シーン
以前、別のとある吹奏楽アニメについて知人が語っていました。
それに対し、私は、

などと(`・v・´) ドヤッ! 顏で述べました。
撤回します。
衝撃が走りました。
新体操の演目を、完全再現しています!
完全どころか、随所のカット割りでめちゃくちゃ格好いいデフォルメも入っています。
音楽も含めて、相当お金かかってます。
基本は3Dですが、ポリゴン要素がほぼ皆無で、美麗なアニメーションが完璧に演技しています。
完璧というのは、一人一人が完全一致しておらず、人によって動きが少しずつ違うのです。
音楽にもびったし合っています。
本物の競技みたいに……。
すご!
一瞬で瞳孔が開きました。
「進撃の巨人」のワイヤーアクションなど、明らかに予算が入って良そうなビッグタイトルなら兎も角、ポッと出の無名アニメで、このクオリティが出るとは予想だにしませんでした。
更に特筆すべきは、このハイクオリティ映像……、開始4分で登場します。
しかも、3分ノーカット!
始まりの挨拶から、演技終わりの呼吸まで全て映像化されています。
これだけでも必見です。
3分×3回なので、9分です。
アニメが好きなら、絶対に観ておく9分でしょう。
一周回って格好いい主人公
このアニメの評価点の90%は競技シーン、残り10%の内8%がこちらです。
主人公が凄く良い。
ずーっと良いのではなくて、1話目が特に優れています。
粗筋をざっと述べます。
主人公は何の取柄もなく、野球部の補欠でした。
地区大会もあっさり負け、同じ敷地内にある体育館へなんとなく入り、そこで新体操を始めて目にします。(冒頭4分のシーン)
そこで、演技の凄み、衝撃に、体操へと魅了されてしまいます。
ずっと心の底に新体操の衝撃があり、ついには演技をしていた高校へと入学し、新体操部へ体験入部。
そこで初めて、バクテンをします。
「飛ぶ」という快感に魅了され、入部を決意します。
って思う方も多いかもしれません。
はい、普通です。
中学生でも、もっと捻った冒頭にするかもしれません。
でもね、捻れば良いってものじゃないんです。
昨今は、ちょっと捻りすぎた話が多すぎます。
ジャンプランキング「俺のジャンプ!」(→コチラ)
でも述べましたが、昨今の少年誌って全然小学生に向けてないです。大人向けが多すぎ。商売に走り過ぎていると思っています。
今の子供達って、これ読んで楽しいのかな? と。
それに引き換え、この主人公は素晴らしいです。
初めて見てしまった感動、衝撃。自分も挑戦してみたい! わくわくする冒険心。
誰もが持つ、子供ならば尚更共感のある感情を代弁する、真っすぐに「やりたい!」を貫く純真な主人公です。
大人が観ても楽しいです。
私も初めてマイケル・ジョーダンを見た時に、あまりに衝撃的で「バスケやりたい!」って思い、即バスケ部に入りました。あの時の感動を思い出させてくれます。
ちょっと構成に触れますと、本作の見所は明白に「競技シーン」であり、冒頭にこれを持ってきている点、明白に予算を取っている点からも、制作サイドの力の入れ方が分かります。
上述通り、素晴らしい出来です。
ここをより目立たせる為には、巨大な苦難や、捻った主人公は良いとは言えません。
視聴者を追体験させる主人公がベストです。
視聴者と同じ視点に立って、バクテンするのがベストです。
癖の無い主人公。どこにでもいそうな、理解に苦しまない純真な主人公こそが最適解の一つです。
これ自体は、見事にマッチしていました。
癖のある主人公ばかり見すぎていて、癖の無い主人公の良さを忘れていました。

単純な回路ですが、誰もが一度は感じた衝動ですので、共感はバッチリあったと思います。
この癖の無い主人公目線で、あの映像を見るのです。
全てが絶妙にマッチした一話目が、最高に良かったです。
今回の、白髪最強ちびっ子
はい。今回も出ました。
白髪は最強。
何回同じ事を書かせるのか……。しかも今回はちゃんとちびっ子です。ゾルディック家の末裔です。
ライバル校のエースが白髪ちびっ子で、主人公の同級生(1年生でエース)で、全国ジュニアのチャンピオンらしいです。
ベタですが、このキャラ自体は良かったです。
声優さんが面白かった。
男性声優さんですが、女性の声で演技されています。(と、勝手に推測しています)
正直、画に声が乗っていないのですが、そこがいい!
このような起用法は、ちょいちょい見かけます。
プロ声優さんって、当然ですが上手すぎるんです。
バッチリ画に合わせてきます。
全員がそれだと、全体的には無個性になる? って感じる製作サイドは多いんじゃないかなって思います。
現に、いち視聴者の私も新しい声やたどたどしい声が入ってくると「お?」っと耳を引きます。
今回のちびっ子も女の子のようなキャラですし、いっそ、個性出しちゃう?
って感じで、男性声優さんに女性声を出させ、業とたどたどしくさせていたのでは無いでしょうか?
染まって無くて良い!
慣れた感じが無くて、画に乗ってなくて、特徴的な仕上がりになっていたと思います。
おかげで、この子が話し始めると目と耳が傾いてしまいます。
アニメはやはり画と音で表現される媒体ですので、こうした仕掛けが作られているのは好感でした。
置きに行ったシナリオ
さて、少しだけ不満も述べておきます。
上記の通り、「競技シーン」や「主人公」や「声優さん」は良かったです。
詰まる所、アニメ的な表現は素晴らしかったです。
が、それ以外での見所が薄かったです。
それ以外……シナリオです!
人間ドラマの表現が薄く、説得力のある人物背景も薄いです。何より、説明の無い「お決まり」で話しを作り過ぎです。
流行り物をそこら中から詰め合わせてみた、感じがあります。
これを目障りだと思う方も多いでしょうし、そこまででは無くても「加点」にはしない方はいるでしょう。私は、加点しません。別に減点するほどでも無いですが、特別面白いとも言えないです。
アニメ特有のシーンは良いのに、それ以外は普通。
この辺りをとやかく言うのは、この程度で止めます。万年あっても足りません。
安牌をかき集める媒体がテレビだというのであれば、それはそれで仕様が無いので、他のメディア媒体が成長して欲しいですね。
シナリオは普通かそれ以下なので、映画では頑張って突き抜けて欲しいです!
インターハイ編が映画化するそうです。
映画はテレビよりも規制が緩いので、より良いシナリオに期待したいです。
まとめ
アニメや漫画というのは、結局のところ「画」で見せる媒体ですので、シナリオがないがしろにされガチです。
シナリオガチ勢としては悲しいですが、仕方が無い……そういう時勢だし。
競技シーンは凄く良くて、これだけをお伝えしたくて記事を書いたくらい、力が入った良作でした。
今は放送直後なので観れる媒体も多いですし、一見してみて欲しい作品でした。
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