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おすすめランク A
こんな人にオススメ ⇒ 構成の妙を観たいかた。大人の女性向け作品
キャラクター | 3.5 |
脚本 | 4 |
映像 | 4 |
構成 |
4.5 |
評価点 84点 |
【あらすじ】
オレゴン州の不良少年達は、ある噂を聞きつけた。
線路で引かれた「死体があるらしい」
警察の捜査でも発見されていない「死体」を探しに、四人の不良少年達は二日間の旅へ出る。
今尚、名作として語り継がれる青春映画。(原作、スティーブン・キング)
月末、四半期で映画を観ている時間がない!
そんな、忙しい貴方へオススメする、名作映画。
からの詳細記事になります。
この映画、1時間25分です。
22時くらいから観ても明日に影響は出ません。
然しながら、話すポイントが多すぎるので、まともに書くと数時間かかりそうなので、大きくpointを絞ります。
point① アメリカ映画には珍しい「起承転結」構成
point② BL勢は、これを目指せ!
今回は2点です。実質1点です。
キングの原作も話したいのですが、それはキングの原作の方でいつか書きます。
安易に「青春素晴らしい」とか言うつもりは毛頭ありません。
都合、観るのは3度目ですが、色々な見え方があって楽しかったです。
では。
point① 起承転結
本日観るまで、これ、気づきませんでした。
「なんか変な構成しているな」と思っていましたが、よくよく時間を計算してみたら「起承転結」でした。
洗脳されていました。
ハリウッドは三幕構成!
と、刷り込まれていた為、違和感はあるのに構成を見もしませんでした。
三幕構成と起承転結の違いは別でお話するとして、定番を崩しているのは確かです。
三幕構成と95%くらいやっている事は同じですが、5%違います。
それが「ミッドポイントの位置」です。
ミッドポイントは三幕構成に使用される言葉で、物語の丁度折り返し点、を言います。そこで、何か印象的な事件が起きます。そこから物語がクライマックスへ向かって動き出します。
起承転結の場合、このミッドポイントの概念が薄く、「転」という強大なちゃぶ台返しを目指します。「転」は、ストーリーの中でも最後の方に置かれる場合が多いです。
起承転結って、かなりじれったい構成で、途中で眠たくなるシーンが多いです。
邦画や伝統芸能、古典小説を観ていて、
「もうええから、さっさとオチまで行ってくれんかな?」
そう感じた人も多くいるはずです。
理由は知りませんが、日本人はジラさせるのが好きな人種みたいです。
私もこれが苦手で、邦画は十代、二十代でほぼ観ませんでした。観ても早送り。
二十代までは全く興味がなかった「起承転結」ですが、近ごろは少し違います。
起承転結の方が、好き放題できるんじゃない?
そうなんです。三幕構成より、起承転結の方がやりたい放題なのです。
だって、
「承」が長いから。
あれほど怠いと思っていた「承」ですが、要はここ「フリータイム」であって、やりたい放題できるんです。
どうせ、「起」の伏線は「転」で回収しますし、であれば構造上「承」は何をやってもいいです。
では、本作「スタンド・バイ・ミー」は、何を好き放題やったのか?
人物紹介をハイライトで描きました。
冒頭~14分までが「起」で、ここは伏線タイムです。
14分~1時間10分まで、が人物紹介です。
ながっ!
もう終わるけど?(1時間25分の映画なので)
ずーっと人物紹介です。
しかも、その紹介が「会話形式」でのハイライトです。
背景を映像で見せず、会話だけで語ります。
この作り方に近似するシナリオ形態を私は知っています。
女性向け小説です。
ほぼこれ!
本作でも背景が映像として描かれるのは主人公だけで、他に三人メンバーが居ますが、全員会話だけでキャラクター背景を作っています。
会話でむくむくと妄想していく文化は、男性的とは言えません。
試しに、近くの男共に聞いてみると良いです。


って、述べる男性がかなり多いはずです。

ってなる女性陣の顏も浮かびます。
男って、画として動きが無いと記憶に残らない生き物なので、「会話だけで妄想しろ」とか、無理なんです。
だから、ハリウッド映画は動きがあるドハデな映像が多いのです。(少年漫画も同じく)
だから男は、SFやバトルばかり観るのです。
で、ここから本題。
本作の尺は1時間25分です。
この時間でキャラクターを一人一人書く事は、ほぼ不可能です。
キャラクターに加えて、旅というメインストーリーも書かなければいけません。
どうする?
ダイジェストにするしかない!
会話だけでどうにかしてしまおう!
三幕構成じゃ、それ、無理じゃない?
起承転結にすればよい!
こんな所でしょう。なぜ三幕構成では無理なのかは、一先ず置いておいて下さい。長くなるので……。
絶妙にハマっていたと思います。
男性視点3:女性視点7
ヒット作の法則の割合ですので、ヒットしました。
point② BL勢は、これを書け!
本作を観ながら思ったのは
「BLやな」
主人公が女々しいのも、物語好きなのもそうです。
金髪美麗少年の親友も「彼は、悪にしかならない」と冒頭で説明されたのに、本編ではめちゃくちゃ優しいとか、これ、BLの鉄板でしょ。
女性も一切出てきませんし、主人公メンバーの家族は皆ろくでもないですが、ろくでもないのが全て「父親」というのも拍車が掛かります。
敵チームのリーダーが金髪ギラギラ不良イケメン(若かりし頃のジャックバウワー)とかも、そう。
母性本能にしか訴えていない。
構造的には「BL」ですが、エロシーンが無いのでバカな男は「BL」だと認識しません。
視覚描写的根拠が無いと、男は理解できません。(二度目)
おまけに「死体」とか「SL機関車」とか「冒険」とか、男が好きそうな映像も多々あるので、なんとなく「青春」という言葉に単純な野郎共は丸め込まれます。
でもこれ、本質はBL。
でも、世間はBLとは言っていない。
こういう演出方法と使い方を、BL勢はできないものでしょうか?
すぐにヤリすぎです。
すぐに「好き」と言いすぎです。
ジレったく演出できれば、男性でも観れるかもしれません。
男性3割取り込めば、世間体のある作品になり、ヒット作への道が開けます。
挑戦してみて欲しいです。
「スタンド・バイ・ミー」の話からズレてしまいましたが、物は見せ方で如何様にでもなるとお伝えしたかったのです。
本質的にはBLやっている作品でも、青春テイストで装ってしまえば、容易に覆ります。
こうした見せ方の上手さこそ、歴代映画史に残る名作と言わしめる作品なのだと思っております。
他にも「グループと主人公の作り方」とか、「序盤のミステリーの書き方」とか、技術論で述べたい事もありますので、また書くと思います。
話したい事が尽きない、名作です。