簡潔レビューシリーズ、今日の読書。
全てネタバレあり。
軽くご紹介します。評価は独断と偏見です。
【ハサミ男 著:殊能 将之】
【ジャンル:ミステリー】
【評価 B】
わたしは「ハサミ男」として既に数人の女を殺し、メディアでは有名人だ。この日も、ある女を殺そうとした。ターゲットを調査し、いよいよ実行となった時、その女は別の誰かに殺されていた。
しかもその手順は、私の殺し手順と酷似していた。
もう20年も経ちますか。1999年のメフィスト賞作品です。
因みに、この頃の小説の背景として、話がやや長いです(文量多い)。
というのも、メフィスト賞創設の切っ掛けとなる京極夏彦さんがバリバリの頃で、全体的に分厚い小説が多かった印象です。あと、小ネタが多い。
本作も同様の印象があります。メフィスト賞ですし。
かつ、この頃流行りのドラマに「X―ファイル」があり、犯罪プロファイリングが取りざたされ、FBI心理分析官が爆発的に売れていました。
そんな時代のど真ん中作品です。
扱われる犯罪(主人公側)は精神失調シリアルキラーです。
追う探偵役がプロファイラーです。
目を引くのが構成的な面白さで、犯人がターゲットにした人物を、先回りで模倣犯に奪われ、模倣犯(真犯人)を探し求める。その犯罪者を追う刑事達。という構図
数珠繋がりで追って追われてが展開されて面白かったです。
近年の作品比べて若干長いですが、独特の文章回しであきる事なく読めました。
とはいえ、賛否が2カ所あります。
重大な賛否であり、本格派にはタブーとされる点があります。
ミステリーでこれをネタバレ無しで言ってしまうと、本書を読む必要が無くなってしまうので避けますが、けっこう嫌がる読者は多い賛否です。
私も当時読んでいたら嫌悪したかもしれないです。
今では、どちらの方法も自分で書いてしまったのでノーコメントです(笑)
というか、上述のあらすじだけで分かる人は分かるはずです。
大きな賛否が2つあるので、B評価としました。
【ビブリア古書堂の事件手帖 著:三上延】
【ジャンル:ミステリー】
【評価 B】
無職の俺は、祖母が持っていた古書の詳細を知りたく、古書店へ向かった。そこで出会った女店主、篠川栞子(しながわしおりこ)は、異常なほどの本好きで、異常なほどに頭の切れる人間だった。
その聡明な頭脳から、人の言葉を見聞きするだけで、全てのドラマを想起できたのだ。
人気のビブリアシリーズです。
物語のファーストインパクトは、やっぱりアイディアだよなーって、いつも思います。
その後の人間ドラマや描写や思想(テーマ)とかも大切ですが、やっぱり一番はアイディア。
「ミステリー」=「殺人事件」ではない。
普段の生活の中にもミステリーはふんだんに含まれている……、例えばそう、本にまつわるミステリーとか。
日常系ミステリーとでも言うのでしょうか? 近年、ライト、ラノベ層のミステリーではこれがめちゃくちゃ増えましたね。
その旗手になっている作品でもあると思います。
兎に角、本、本、本、本!
本にまつわるマニアックな情報から、それらに関わった現実の人間達のミステリが詰まっており、根本としてやっているのは古典的な「安楽椅子探偵」なのですが、凄く斬新で鮮烈な印象を受けました。
作者がラノベ出身ということもあり、非常に読みやすい文体になっており、物語も短編1話完結なので読みやすいです。
構成の話だけしておくと(あくまで1巻に限りですが)、WEB小説や漫画で、こういう1話完結の短編を4-5を収録する作品の場合、1話1話を完全に独立させちゃう人が散見されますが、「1冊分で起承転結を考えて」何かしら連結させた方がいいです。
やり方は難しくなくて、全体の起承転結を4-5話で作るだけです。で、「起」の中に更に起承転結を作って、一話の短編にします。2話目は「承」3話目も「承」4、5話目で「転結」ですね。
これを見て「??」ってなる方は、もう一回起承転結を勉強しましょう。
本作は参考図書になるので、読んで分析してみると良いかと思います。
凄く新鮮で良い作品ですが、ライト層向けという事もあり、事件全体は想定の範囲から出ておらず、「B」評価となりました。(まぁ、大体の作品がBです)
まぁ、あからさまに「B」狙いされているので、マーケティング的には正解だと思いますが。