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おすすめランク B
こんな人にオススメ ⇒ 少年誌好き。最強、イケメン先生が好きな人
ストーリー | |
構成 | |
画 | |
オリジナリティ | |
総合評価 70点 |
【あらすじ】
類稀な身体能力を持つ高校生・虎杖悠仁(いたどりゆうじ)は、病床に伏せる祖父の見舞いを日課にしていた。だがある日学校に眠る「呪物」の封印が解かれ、化物が現れてしまう。取り残された先輩を救う為、校舎へ乗り込む虎杖だが!?
(1巻「公式」より)
鬼滅の次はこちらですか。ジャンプ絶好調ですね!
最近話題の「呪術廻戦」。売れた理由は一目瞭然
「アニメが良かった!」
のですが、これは鬼滅も同じですし、昨今の他の漫画も大体同じなので触れずに行きます。
今回のポイントは三つ!!
では、ポイント①から見ていきましょう!
ポイント① 最強
男は誰しも、一度は最強を目指した……
は、「グラップラー刃牙(秋田書店)」の作中ナレーションであり、集英社とは全く関係ないのですが構わんでしょう。(烈海王なら、きっとそう言ったはずです)
なぜ男が【最強】を目指したがるのかは社会学あたりに任せるとして、好きなものは好きなんですね。
特にこの作品はこれが飛び抜けて顕著です。
サムネでデカデカと領域展開(必殺技)をかましている彼が、生物最強という設定で、しかもイケメン先生で、しかも味方役で、非の打ちどころのないスーパーヒーローとして作中に存在しています。
主人公って何だっけ? というくらいに、彼「五条悟(ごじょうさとる)」がスーパーヒーローとして存在しています。
人物達のパワーバランスが明らかに変で、この五条悟と主人公……に、寄生している「両面宿儺(りょうめんすくな)」って化物が頭百個くらい抜けていて、従来の物語の作り方では無いように感じます。
ココ!
ここが重要です。少し構造で見てみます。
本作、ストーリーが幾つかに分離しています。
一つは「主人公達が苦難に立ち向かう物語」ですね。苦難の浴び方は「化物に取り憑かれて、色々な人から狙われる主人公」です。
ここだけ取り上げると「NARUTO(同、集英社)」と同じなんですね。
もう一つは、最強の怪物と、最強のヒーローが戦う「北斗のケン(同、集英社)」式ジャンプバトル……と言いたいですが、この飛躍のさせ方は「幽遊白書(同、集英社)」に酷似する富樫イズムです。
後、これは別出版社ですが「化物語」的な結論の導き方もあります。
「近代の流行り物」を指二十本分くらい取り込んだ、集大成とも言える作品に仕上がりつつあります。
こういう状況下で、男子の最強好き本能に特化させて、イケメン先生の女性人気に特化させて、「最強ごり押し」へと舵切りしたのはセンスが良いです。
どう舵切りをしたのか?
それをポイント②で見てきましょう。
ポイント② 説明無し! ストレスフリー!
ここなんですよ。
私、悪口を言っているつもりは毛頭ありません。
色々な要素を詰め込み過ぎているんです、この漫画。
たぶん、普通にやったら収集付かないはずです。
何かを削らないと書ききれないはずです。
何を削ったか?
説明です。
本作の必殺技に位置する「領域展開(りょういきてんかい)」ですが、なんだかよく分からん説明だけされて終わっています。
他にも諸々、良く分からん、説明されていない箇所が無数にあります。
これをちゃんと解説すると「NARUTO」になってしまいます。
でも、それをやってしまうと「鬼滅みたいな人物重視のストーリー」が書けなくなります。
この物語、その辺りも取り込もうとしています。
やろうとしている事があまりに多すぎるので、全然収集が付いていないです。
ごちゃごちゃしていて意味分からんものを、そのまま出して、尚且つ「説明しない!」主義を取っています。
ココが、この作品の特筆点です。
このごちゃごちゃ感が、作風になっています。
なんだか良く分からんけど、「最強!」
最強を大きく取り上げる事で、読者のストレスを解消し、説明を省く事で「アクション」や「絵」に向かわせて、なんとか物語を成立させています。
けっこう凄い綱渡りをしていると思います。
ですが、現状はストレスが溜まらずに読めていますし、ストレスフリーに舵を切った策略(たぶん編集さんでしょうけど)は、正解だったと言えます。
正直、若いからパワーで押し切っている感じですが、そこは「少年誌」です。
「少年誌」たるもの、作家パワーでごり押ししてナンボですものね!
ポイント③ 良く分からん思想
では、「作家パワー」とは何でしょう?
本来は、順序立てて説明されるものです。
「Aさんが、ああいう行動して、こういう発言をしたら、こういう思想形態で、きっとこれを伝えたいのだろう」
と、説明していきます。これが所謂「起承転結」って奴です。
序盤中盤の順序だてた説明があってこそ、最後の台詞や結末に意味が出てきます。
これらの手順をすっ飛ばされると、正直、良く分かりません。
論理というのは、体系付てこそ他者に伝わる「思想」へと変化します。
本作に関しては「体系付け」を無視する形で物語を進めていますので、思想面については「???」です。
只、思想にもならない思想に、魂が見て取れました。
きっと言いたい事が沢山あるのでしょう。紙面が許すのであれば、とことんまで書きたいでしょう。
ちゃんと書ければ、もっと伝わるのに!
と、作者が思っているか否かはは定かでは無いですが、
「なんだか言いたい事が溜まってそうだな?」
という台詞や結末がやけに多かったです。
消化不良の中で紡がれた結末が、「最強マンセー」に釘を刺すように入って来て、私は面白かったです。
この感じだと、最後までアレやったり、コレやったりで落ち着きの無いストーリーになるのでしょうが、落ち着きのある作品なんかオッサンでも爺でも書けるので、今! しか書けない! っていう若い作家パワーで押し切って欲しい作品でした。