映画【おすすめレビュー】インターステラー 

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おすすめランク B

こんな人におすすめ ⇒ 古き良き時代のSF好き。科学検証を綺麗な映像で観たい人

ストーリー  
映像  
キャラクター  
古典SF  
総合評価   73点  


【あらすじ】

地球の寿命は尽きかけていた。
居住可能な新たな惑星を探すという人類の限界を超えたミッションに選ばれたのは、
まだ幼い子供を持つ元エンジニアの男。
彼を待っていたのは、未だかつて誰も見たことがない、衝撃の宇宙。
はたして彼は人類の存続をかけたミッションを成し遂げることが出来るのか?
(「公式」より)

鬼才クリストファー・ノーラン監督作品。

同監督作品「インセプション」にしようかと思っていたのですが、こちら未視聴でしたので、鑑賞がてら書いてみます。

一応リンク↓ いつか書評します。

 

今時、こうしたガチガチのSF作品でヒットを出せるのは素晴らしいですね。

ノーラン監督といえば、その緻密な構成。こうした作家の得意分野は、往々にしてSFやミステリィだったりします。前衛的な手法へのチャレンジ精神を、まずは脚本段階から作っていく。その持ち味が最大限発揮されるのは、やはりSFです。

SFには大きく大別して二種類あります。

「現状世界のメタファーを、SF世界に落とし込む」

「SFギミックに翻弄される人類を書く」

本作は後者です。SFという宇宙船に乗り込んで、科学世界を体験してみるのが、最大の目的でしょう。

初めに申し上げると、私の評価点が80点を超えなかったのは、これを観たからと言って世界が変わるほどの衝撃はなかったからです。

それも含めて述べて参ります。

 

 

 構成  

まず、長いですね。160分(2時間半)

これだけの長尺で作れる辺りが、ノーランが世界トップクラスの監督になった証明でもあります。

尺が伸びている理由は、二つあり、

1 主人公を二人に分けているから。

一人は勿論、本編主人公の父親で、もう一人が娘。

この二人の信頼関係が物語の原動力ですので、外す事もできないでしょう。正直、予算次第では娘側は大幅カットされる可能性もありますが、それだけの予算、つまりは売り上げ見込みが立つという事で、採用されています。

監督、プロデューサー等の力がここで見えます。

折角もぎ取った尺ですので、無駄なく使いたい。だから、1幕に連動させるどんでん返しが「転」に来ています。

いや、逆かもしれませんね。尺を取る為に「起」と「転」を絡ませたのかもしれません。こちらの方が可能性は高そうです。

ともあれ、上手い「転」の作り方、「どんでん返し」の作り方は、「起、承」で作った伏線を如何に回収できるか? ですから、作品構造しても必須だったでしょう。

只、ここで(「転」)の内容に「面白くない」「ご都合主義」と評価を落とした人も多いかと思います。

実際に「謎のパワー」で、強引に1幕目と結び付けられます。

私の感想としては、別にこれで構わないです。ご都合主義を嫌う方はけっこう見かけますが、都合の無い作品って最後は視聴者に投げっぱなしにするだけですし、都合をつけるために尺を伸ばされても飽きますし、2時間という予算の中で書ききるには、都合を付けるのは当然かと思います。

それにしては長いな……とは思いましたが。

概ね転のシーンくらいしか「お涙頂戴」をする場面もなかったので、商業作品としては仕方が無いと飲み込みました。

あの倦怠感のあるシーンに「納得しない」という一部のマニア層は、大多数の「ミーハー層」はあれが無いと納得しない、というデータにこそ反感を持つべきで、作品に文句を付けるのは筋違いです。

これに連動して、もう一点。

2 マット・デイモンはいらない

マット・デイモンさんは好きです。彼がどうこうではなく、あの一連のシーンは不要ですね。あれこそ「ミーハー層」向けのエピソードであって、もっとカットできました。それでも入れているのは商業の為かと思いますし、ちょっと制作サイドの悪意も見えます。

オデッセイ(主演マット・デイモン、監督リドリー・スコット)」とリンクさせて遊んでいるのは、リドリー・スコットのファンである私には悪意に見えました。

 

だって、雑すぎるもの。(リスペクトとは思えない)

他のシークエンスに比べて、明らかに投げやりに見えました。「はいはい、こういうの入れとけばいいんでしょ?(でも遊ぶよ)」みたいな雰囲気があって、不愉快でした。(私がリドリー・スコットファンなので、そう見えただけかもしれませんが)

物語的にも単なる通過点でしたし、あそこを大幅カットしてコンパクトにしても良かったと思います。

こうした点からも、「密度が高い」とは言い切れなかったです。

同監督作品「メメント」「インセプション」の方が圧倒的に密度は高かったです。

が、仕方ないでしょうね。宇宙の映像も綺麗でしたし、SFのワクワク感が随所に見られて面白かったです。私的にはこれだけでも良かったのですが、それだけで大型予算を引っ張るのは難しいでしょうし、これを「無駄」と言わずに「間」と言い換えて納得するべきなのでしょう。

今時、こうしたSFって流行らないので滅多に作られませんし、それをこんな綺麗な映像で、ノーベル物理学者まで起用して「サイエンスフィクション」を作って見せてくれたのですから、個人的には満足しています。

久々に観たハードSFで、「相対性理論」を何度も口うるさく、自慢げに述べてくれるのも昭和のSF全盛期っぽくて、ツボの分かっている良作です。

ハードSFが、これで息を吹き返して欲しい希望も込め、3点追加の「73点」。

でも個人的に同監督作品、近々では「インセプション」、若くしは「メメント」の方が価値として上なので、80点は越えない、一度見て欲しいに留まりました。

尚、ストーリーの★を四つにしているのは、相対評価で、ノーラン作品としての絶対評価ですと「★★★(3つ)」です。